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親バカでいい 第20話

21、「練習はウソをつかない」 前述したように、学生時代の僕は本当に足が遅くて、短距離走では入賞した記憶が全くありません。野球部始まって以来、トリプルプレーでアウトになったのもおそらく僕が最初で最後の選手でしょう。とても恥ずかしかったです。それで僕はとにかく家の前にあった短い坂道を毎晩のようにダッシュで駆け上がるトレーニングをしました。足が遅いことをコンプレックスにしている人間にとって、既にスタート地点に付いて、ヨ〜イと構えた時点で、どうせまた負けるんだ、勝てっこないんだ、と決めつけてしまい、案の定、負けまくりました。が、流石にトリプルプレーを食らったときは、これじゃダメだ。何とかしなくちゃとなって、とにかく坂道ダッシュを繰り返しました。すると、何とそのあとの体育の授業での50m走で、1秒近くもタイムを縮めることが出来たのです。びっくり仰天でした。何故そんなにタイムを縮めることが出来たのか?それは、自分への自信でした。あんなに毎晩坂道ダッシュをしたのだから、速くなっているはずだ、遅いはずがないと自分を暗示にかける確固たる練習量が僕を前向きにさせたのでした。 これまた前述したように、1977年の秋に僕はカントリー歌手のジミー時田さんに弟子入りを志願しました。カセットテープに自分の弾き語り音源を2曲入れ、カセットレコーダー持参でジミーさんの許を訪ね、聴いて貰いました。結果、一曲目の1番すら聴くこともなく、ジミーさんから、「ユー、ダメだね。これで歌手になろうなんて話にならないよ。帰りなさい」と言われました。 あれから40年。今だ歌が上手いとはいえませんが、この40年続けてきた自分なりの創意工夫は、自分が人前で歌うときの大きな自信となっています。その思いは、15歳のときにひたすら足が速くなりたくて、坂道ダッシュを繰り返した思いと何ら変わりないもので、僕は今も向上心を要する対象がある人生をうれしく思うのです。苦手なものでも、練習をもってすれば必ず克服出来ると僕は信じています。練習はウソをつかないのです。そういえば、先日行われた運動会で、息子が生まれて初めて徒競走で1位になりました。足が遅いことをコンプレックスに持ちながら、それでも速くなりたいとしょっちゅう走っていた成果でした。


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