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親バカでいい 第18話

19、「子どもと手をつなごう」 先日、前を歩く親子がいました。お母さんは、27〜30歳。娘さんは5歳位の可愛い子でした。お母さんは歩きながらの携帯。娘さんはその背後をウロウロ。そして時たま、母親を追い越して、低い石垣の上に飛び乗ったりしています。「ねえ、ママ。凄いでしょ?」自慢気に石垣の上で母親に手を振る娘。母親は一瞬そんな娘に目をやりながら、「危ないからやめなさい!」と言って、再び視線は携帯の画面へ。とそのとき、石垣の上で飛び上がった娘が足を滑らせ、地面にずり落ちました。幸い高さもなく、足から滑り落ちたため大事に至ることはありませんでしたが、びっくりして娘は声も出ない状態でした。そんな娘を見て母親が怒鳴りました。「だから、危ないって言ったでしょ!あんたバカなの?頭を打ったら死んじゃうのよ!」 そして母親は不機嫌そうに携帯をカバンにしまうと泣きべそをかいてその場に立つ娘を置いてさっさと歩き出しました。娘はその場を動こうとしません。母親が娘を振り返ります。そして「いいから、早くいらっしゃい!」とまた怒鳴りました。小走りで追いついた娘の手を母親はこのときようやく掴みました。「だから、お母さんの手を離しちゃダメだって言ったでしょ!」娘さんはただ泣いていました。 (だって、手をつなぎたくてもお母さんは携帯で両腕がふさがっていたじゃない)、(危ないって思ったら、何故そのときに私の手をつないでくれなかったの?)(携帯ばかり見て、何故私を見てくれなかったの?)(私、バカじゃない。ただお母さんの関心をひきたかっただけなのに…)など、娘さんも彼女なりの言い分はたくさんあるはずだったと思うのです。でも5歳位では言い返せないでしょうし、そんな理不尽なことを言う親でも、親には変わりはないわけですから、従うしかありません。でも少なくともこの子の自尊心は傷つき、このときの母親の酷い言動は彼女の脳の中に刻まれます。やがて彼女が思春期を迎えた頃には、今度は些細なことで彼女が母親を責めるかもしれません。立場が逆になり、母親が泣くかもしれません。母親をバカ呼ばわりするかもしれません。とまで考えてしまうのは、僕の勝手な妄想かもしれませんが、外を歩くときは、子どもが小さいうちはとにかく手をつないで欲しいと思います。子どもはあっという間に成長します。だから、子どもと手をつないで歩ける時間は意外と少ないのです。手をつなぐだけで、子どもはうれしいのです。安心するのです。心が通い合うのです。だから、子どもと手をつなぎましょう。子どもの手は小さくて本当に可愛いです。僕の歌の師匠のジミー時田さんは、晩年入退院を繰り返していた病院のロビーで、「モロ、ひとつお前に頼みがあるんだ」「何ですか、オヤジさん?」「お前の娘と手をつないで歩いてみたいんだ」そう言ってジミーさんはまだ小さかった娘と手をつないで病院内を歩きました。ジミーさんがそのとき言いました。「小さい子の手は本当に可愛いなあ」と。


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