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親バカでいい 第15話

16、「親の失敗談を話してみる」 小学校低学年の息子に訊かれます。「パパはテストで0点を取ったことがある?」僕は答えます。「あるよ」ちょっと驚いた顔の息子が続けます。「へえ〜、あるんだ。何年生のとき?」「高校2年生のとき。生物で0点を取ったよ」「それでどうだった?」「どうだったって…。恥ずかしかったよ。パパはテストを返してもらったときに、マルが一つあったんだと思って、おーっ、良かったあ!となって友達に見せたら、それがマルじゃなくて点数だったんだよ」「それでパパはどうしたの?」「パパのお兄さんに生物を教えてもらって、そしたら96点を取ったんだけど、通信簿には48点(中間と期末試験の合計点での平均点)と表記されてそれでお終い」と息子に微笑みました。 こんなこともありました。運動会を翌日に控えた息子。「パパはかけっこは早かった?」息子の問いかけに僕もきちんと答えました。 「パパはかけっこは全然ダメだった。マラソンみたいに長く走るのはそこそこだったけど、運動会とかのかけっこは全然ダメだった。本当に遅かったよ。一番悔しかったのは、中学3年生のときに、野球部の練習試合で、トリプルプレーでアウトになっちゃったんだ」「何それ?」「ノーアウト、ランナー1塁、2塁でバッターのパパが強いサードゴロを打ったら、三塁手がそれを捕ってサードベースを踏んでワンアウト。その三塁手がセカンドに送球してツーアウト。そしてそのセカンドからボールがファーストに送られてスリーアウトのトリプルプレー!野球部始まって以来の屈辱だっていうことで監督からとても叱られたのを覚えているよ」「そうなんだ…」「中学3年生なのに、中学1年生にもかけっこは負けたりしてたからね。だから、パパは悔しくてね。それでパパの家の近くに短い坂道があったんだ」「それで?」「足が速くなりたくて、毎晩、その坂道を何度も何度もダッシュしたんだ」「それで速くなったの?」「ほんの少しだけど速くなったよ」息子は僕の噓偽りない話を真剣に聞いていました。そして「僕は走るのが大好きなんだけど、速くないんだ…」「パパは走ることは小さいときから好きじゃなかったなあ。野球やってたときもホームランを打てば良いやって思っていたから。ホームランなら足が速い、遅いは関係ないだろ?まあ、パパはホームランも打たなかったけどね」「明日、ビリになっても良い?叱らない?」「叱らないよ。何故??れるの?パパはキミより足がもっと遅かったんだよ。おまけにパパは走ることが好きじゃなかった。走ることが好きなキミのことを叱る資格などパパにはないよ。大丈夫、好きなら必ず速くなるから」息子は安心した顔になりました。 子どもからすれば親はいつだって尊敬に値する存在でいて欲しいと思っていることでしょう。一見、失敗談を子どもに伝えることは親の権威を損ねることだと思ってしまうかもしれませんが、そんなことはありません。失敗をどう克服したか?どう対処したか?を伝えることのほうが大切だと僕は思います。子育てにおいて、カッコ悪いことを子どもに話すことは必ずしもカッコ悪いことではないのです。


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